心構えも重視される介護業界の転職

介護業界への転職を検討している人の中には、専門学校や資格スクールなどに通い、日頃から知識や技術の習得に励む人もいるだろう。確かに介護現場では、高齢者の日常生活を全般的に支援するため、様々な専門的な知識や技術が必要だ。
しかし介護関連の求人において、資格が必須条件ではないケースも少なくないのが現実である。なぜなら介護の仕事で求められるのは、知識や技術ばかりではないからだ。

高齢者の食事や入浴あるいは排泄といった日常生活の介助を継続するためには、体力はもちろん忍耐力や集中力さらにホスピタリティといった、肉体と精神それぞれの強さや優しさが重要になる。その上、介護職には職業倫理も強く求められる。
したがって書類選考や採用面接では、資格よりも人間性や体力的な部分について、厳しくチェックされることを覚えておくべきだろう。

ちなみに職業倫理は「社会福祉士及び介護福祉士法」に定められており、介護業界での転職成功を実現するなら、絶対に理解しておくべき心構えが幾つも記されている。
その中で最も大切な心構えは、誠実義務の条項(第44条の2)だ。ここでは個人の尊厳を守り、相手の立場になって誠実に業務を遂行すべきとされている。
肉体や精神に障害のある利用者は、自分では日常生活を営めない苦しみや葛藤を抱えながらも、様々な支援を必要としている。例えば排泄等の介助をしてもらう場合にさえ、常に羞恥心や気兼ねを感じているのだ。介護職はそのような利用者の立場をよく理解した上で、個人の尊厳を守りながら、介護の仕事を進めていくことが求められる。